十五夜とは?秋にお月見をするようになった理由やお供え物の意味
公開日: 2022/12/27
秋の行事として思い浮かぶのが「十五夜」。そもそも十五夜にはどのような意味があるのでしょうか。また、十五夜ではすすきやお団子を飾ってお月見をすることがありますが、これにはどのような意味が込められているのでしょうか。今回の記事では、この十五夜についてわかりやすく解説します。
- 目次
- 十五夜とは
- 十五夜と中秋の名月との違いとは
- 十五夜と中秋節との違いとは
- 十五夜は毎年日にちが変わる?
- 十五夜の日以外でお月見を楽しむ風習がある日
- 日本における十五夜の文化
- お月見のお供え物とお供えをする理由
- 月餅とは?
- お供の終わった食べ物はどうするの?
- 歴史の深い十五夜を現代でも楽しんでみては?
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十五夜とは
十五夜(じゅうごや)とは、一般的に旧暦の8月15日の夜、もしくはそのときに見える月そのもののことを意味します。
現在の暦は明治5年(1872年)に採用された「太陽暦(新暦)」を採用していますが、それ以前に用いられていた「太陰太陽暦」のことを旧暦と呼びます。旧暦では月の満ち欠けを主な基準として暦を決めており、1ヵ月を29日あるいは30日、1年を12ヵ月約354日と定めていました。さらに、地球の周期に合わせるために5年に約2度の頻度で1年を13ヵ月とし、ある月を2回繰り返す「閏月(うるう月)」を設けていたことも特徴です。昔の人々の生活が、月と密接につながっていたことがわかりますね。
十五夜と中秋の名月との違いとは
十五夜のことを「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」と呼ぶこともあります。これは、1年の中で特に月が美しく見えて、お月見にもっとも適していることから名づけられています。
十五夜と中秋節との違いとは
「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」は旧暦の8月15日で、中国の代表的な節句の一つです。中国には春節や端午節といった節句がありますが、それらに並ぶくらいポピュラーな行事となっています。実は、十五夜に月見をして月を愛でるという風習は日本独自のものではなく、本来は平安時代に中国の唐から伝わったものでした。
日本に中秋節が伝わったのち、月の満ち欠けなどを見ながら農耕を行っていた農民たちが、五穀豊穣の感謝のためのお供え物をするようになり、現在のお月見という風習が日本に根づいたのです。
十五夜は毎年日にちが変わる?
現在は太陽の動きを基準とした新暦に基づいて生活を送っています。新暦では1年が365日ありますが、旧暦では1年が354日だったため、1年で11日のズレがあることになります。このことから、十五夜は毎年日にちが変わるのです。2021年は9月21日、2022年は9月10日、2023年は9月29日が十五夜です。なお、2023年の十五夜は満月です。お月見がさらに楽しくなりますね。
十五夜の日以外でお月見を楽しむ風習がある日
十五夜以外にもお月見を楽しむ風習はあります。代表的には2つを紹介します。
・十三夜
「十三夜(じゅうさんや)」は、旧暦の9月13日~14日の夜のことをいいます。十五夜は中国伝来の風習ですが、十三夜は日本で生まれた風習です。十五夜では月の神様に豊作を願いますが、十三夜では主に稲作の収穫を終える地域から、美しい月を愛でるものとして始まりました。十三夜は、別名「豆名月(まめめいげつ)」や「栗名月(くりめいげつ)」、「後の月(のちのつき)」とも呼ばれます。これは、十三夜の月に豆や栗が収穫できる時期であることが由来となっています。また、十五夜の次に美しく、十五夜の次に訪れることから、後の月と呼ばれることにもなりました。
旧暦では毎月新月から数え始めますが、新月から数えて14日目~17日目が満月です。そのため、十五夜は満月に近い月が見られました。十三夜は新月から数えて13日目なので、満月には少し欠けた月が見られます。そのため、十五夜は月が美しいとされていますが、十三夜も十五夜の次に月が美しいといわれています。
・十日夜
「十日夜(とおかんや、とおかや)」は、旧暦の10月10日の夜のことをいいます。十日夜は、「刈り上げ祝い」と呼ばれる収穫祭を主とした行事であり、今でも東日本を中心にその風習は残っています。旧暦10月10日は「刈り上げ十日」とも呼ばれており、稲刈りが終わって田んぼの神様が山へと帰る日だといわれています。そのことから、十日夜では稲の収穫に感謝し、翌年も豊穣であることを願って、田んぼの神様に餅やぼた餅をお供えするのです。
また、地域によっては十五夜と十三夜にそれぞれお月見を行い、十日夜で3回目のお月見をするところもあり、別名「三の月(さんのつき)」と呼ばれることもあります。なお、十五夜と十三夜、十日夜の「三月見(さんつきみ)」すべてが晴れた年は良いことがあるといわれており、このことを知っていると月見がますます楽しくなりそうです。
日本における十五夜の文化
十五夜が行事として定着する前にも、日本では太古の昔から月が神聖なものとされてきました。さかのぼると、古くは縄文時代にはすでに月を愛でる習慣があったといわれています。平安時代には中国から中秋節が伝わり、貴族の間で広まります。それから江戸時代に、庶民の間でも十五夜が親しまれるようになりました。現代でも月見をする風習が残っているだけでなく、地域によってはお供え物をしたりお祭りをしたりして農作物の豊作祈願や収穫への感謝を行っています。
お月見のお供え物とお供えをする理由
月を見るだけでも風情があって楽しい体験ですが、せっかくなら日本の四季をより深く味わうために、お供え物をして十五夜の行事をもっと豊かに楽しんでみませんか。十五夜は秋の農作物の収穫に感謝をささげる風習であるため、豊作を祝う食べ物を、月が見える場所にお供えするのです。昔は縁側が代表的でしたが、現代は窓辺やベランダなど、月が見える場所であればどこでも構いません。
お月見と言うとみなさんは何を思い浮かべるでしょうか。代表的なものは「月見団子」でしょう。穀物の収穫に感謝するものであり、お米で作ったお団子を月にお供えします。また、月見団子を食べると健康や幸福がもたらされるともいわれています。月見団子は数が決まっており、十五夜にちなんで15個です(十三夜は13個です)。これらの団子を下から9個、4個、2個と全体でピラミッドの形になるように積み上げてお供えします。ただし、略した形で5個、あるいは1年の満月の総数である12個でいいともされています。
月見団子を乗せる台は、正式にはハレの日のしつらえ(演出)や、神道の儀式などに使われる「三方(さんぽう)」と呼ばれるものを使用します。三方はホームセンターやインターネットなどで比較的手軽に購入できます。もし用意ができない場合は、お盆やお皿に乗せてお供えしても構いませんので安心してください。
また、十五夜ではお団子にすすきを添えてお供えすることも多いです。すすきは秋の七草の一つで、茎の内部が空洞であることから、月の神様が宿る場所であると古くから考えられてきました。また、昔は収穫への感謝として稲をお供えしたかったところを、稲刈り前なので稲に似たすすきで代用したという説もあります。すすきをお供えするときは花びんに生けるとよいでしょう。もし準備できれば、ほかの秋の七草や、季節の草花と一緒に生けるとお供えの場が華やぎます。なお、すすきは切り口が鋭いことから魔除けになるともいわれており、お月見を終えたあとに庭や水田に立てたり、軒先につるしたりして災いから身を守る風習が今も残っている地域もあります。
さらに十五夜は芋の収穫時期であることから「芋名月(いもめいげつ)」という別名があり、里芋やさつまいもなどをお供えすることもあります。こちらはスーパーなどで手に入りやすいものです。これらのほかに、ツルのある野菜や果物をお供えすることもありますが、これは月と人とのつながりを強めるという、縁起のいいお供え物であるといわれています。
月餅とは?
中国の中秋節では、満月の丸さが団らんの象徴とされていることから、家族や親しい友人を招いて、月を愛でながら食卓を囲んで食事をします。お月見のかわりに満月をかたどった「月餅(げっぺい)」といわれる焼き菓子を食べることもあり、月餅は今では日本でも買うことができます。月餅はラードの風味が効いた生地の中にあんこやハスの実などを包んだ円柱型の焼き菓子で、表面に複雑な模様を刻印していることが特徴です。
お供の終わった食べ物はどうするの?
十五夜のお団子や野菜、果物は、食べることによって健康や幸福がもたらされるほか、神様との結びつきを強めると考えられており、食べてもいいといわれています。もしお月見でお供え物をすることがあったら、その後はおいしくいただきましょう。
歴史の深い十五夜を現代でも楽しんでみては?
はるか昔から月を愛でていた日本人。十五夜として広まった平安時代から今に至るまで、食べ物をお供えし、月を見ながら豊穣をお祝いしてきました。今年2023年の十五夜ではなんと満月の夜を迎えます。みなさんもお団子やすすきを用意して、お月様を眺めてみてはいかがでしょうか。
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