光の速さはどのくらい?速さを測った実験の歴史やおすすめの自由研究

公開日: 2023/01/30

みなさんは、光に「速さ」があることを知っているでしょうか。光も動く物体と同じように空間の中を進んでいきますが、このときの光の動く速さを「光速」と呼びます。

今回の記事では、光の速さと、光速が実際に証明されるまでの歴史などについてわかりやすく解説します。また、速度についての学びを深める自由研究についても紹介しますので、ぜひチャレンジしてみてください。

目次
光の速さとは?
光の速さはどのくらい?
光の速さの歴史
光の速度によって1メートルが決まっている?
光の速さと音の速さは違う?
自由研究におすすめ!光が一番速いの?いろいろなものの速さを比べよう
光速をきっかけに、身近なものの速度についてもイメージしてみましょう

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光の速さとは?

光の速さとは、光が伝播する速度のことです。真っ暗な空間の中に光が差し込むとき、光はその空間の中を進んでいることになります。光はいったいどのくらいの速さで空間を進むのでしょうか。

光の速さはどのくらい?

光の速さは、秒速約30万キロメートルです。これは、1秒間に約30万キロメートルの距離を進むことを意味します。例えて言うと、1秒間で地球を7周半もしてしまう速度です。光が1年をかけて到達する距離のことを「1光年(こうねん)」と呼びます。

1光年は9兆4600キロメートルです。地球と太陽の距離を1光年の距離で割ると、0.00001581光年です。これを分に直すと約8分19秒であることがわかります。これは、太陽から出た光が約8分19秒後に地球に届くということです。さらに、月から地球まではなんと2秒で届く速さです。光の進むスピードがいかに速いかがわかるでしょう。

光の進む速度のことを「光速(こうそく)」あるいは「光速度(こうそくど)」と呼びます。光速は正確には「真空における光の速さ」であり、その数値は秒速299792.458メートルと定義されています。

光の速さの歴史

大昔の人たちは、光の速度は無限大であると考えていました。この速度が具体的にどのくらいなのかを測定しようと初めて考えたのが、イタリアのガリレオ・ガリレイ(1564-1642)だといわれています。ガリレオの著書である『天文対話 』には、光の速度を測定する方法が記されています。しかし、ガリレオは実際に光を測定することができませんでした。

光に速度があることを実際に証明したのが、デンマークの天文学者であるオーレ・レーマー(1644-1710)です。レーマーは1676年、木星とその衛星であるイオを観測中に、木星にイオが隠れる周期が予想よりわずかに遅れていることに気づきました。この遅れの原因を、木星から地球に光が届くのに時間がかかるためであると推測しました。これはつまり、光に速度があることと同じ意味となります。そこでレーマーは観測データをもとに、光の速度を算出することに成功したのです。レーマーが計算した光の速度は現在で定義されている光速よりも30%小さく不正確なものでしたが、レーマーの発見は、光に速度があることを証明した画期的なものであったといえます。

その後、フランスのアルマン・フィゾー(1819-1896)が実験によって光の速度を測定しています。フィゾーは、観察地点に設置した光源から放たれた光が回転する歯車の歯と歯の間を通って、9キロ遠くの反射鏡で反射して戻ってくる往復の時間を計測し、光の速さを求めました。その結果、光の速度が秒速31万3000キロメートルであると算出し、これは現在定義された値とかなり近くなっています。

また、フランスの物理学者であるレオン・フーコー(1819-1868)は1850年、回転する鏡をつかって光の速さを測りました。フーコーはこの実験で、水中での光の速さが空気中の3/4ほどであることを発見しています。水の中で光の速さが変わるというのは、不思議に思える現象ですね。

光の速度を正しく測定しようとする試みはその後も続き、マイケルソンが1926年に回転鏡を使った実験を行い、エベンソンは1973年にレーザーによる測定を行っています。20世紀半ばになると、電磁波やレーザーなどの技術を応用してさらに高精度の測定が行われるようになりました。結果、現在定義されている値とほとんど差のない値が測定結果から得られるようになっています。

測定結果のずれは1970年代にはほぼなくなり、1983年には「国際度量衡委員会」という国際委員会において、真空中の光の速度が秒速299792.458キロメートルとして確定することになりました。これが「光速(光速度)」です。

光の速度によって1メートルが決まっている?

わたしたちが普段から使っている「1メートル」という長さの単位は、実は光の速度を用いて決められています。

昔は定規のような測定器である「メートル原器」や、原子が出す光の波長によって、1メートルの基準を定めていました。しかし、技術が日々進歩する中で長さをより正確に決める必要が生じるようになりました。そのため、光の速度を使って、1メートルの長さを精密に決めることになったのです。

国際度量衡委員会は、1983年に1メートルを「光が真空中を2億9979万2458分の1秒の間に進む距離」と定めました。これは、同じ1983年に確定した光の速度である秒速299792.458キロメートルをものさし代わりに使うことで決められています。

光の速さと音の速さは違う?

夏の風物詩といえば「打ち上げ花火」です。みなさんは、花火を少し離れたところから見たときに、花火が見えてからしばらくして「ドン」という音が聞こえたという経験をしたことはないでしょうか。これは、「光が瞬間的に伝わり、音は光より時間をかけて伝わる」という速度の違いを証明するものなのです。もしこれから打ち上げ花火を見ることがあったら、花火を目にする時間(光の速さ)と音を耳にする時間(音の速さ)の違いをぜひ観察してみてくださいね。

自由研究におすすめ!光が一番速いの?いろいろなものの速さを比べよう

動くものはこの世界に数えきれないほど存在します。そして、その多くが異なる速さで動いていますね。身近なものをピックアップして、その速さを比べてみましょう。
まずは、比べたいものをピックアップしてノートに書き出します。具体的には以下のようなものを扱うとよいでしょう。

<身近な動くものの例>

・人が歩く速さ
・人が走る速さ
・100メートル走の世界記録
・マラソンの世界記録
・自転車の速さ
・鳥が飛ぶときの速さ
・自動車の一般的な速さ
・自動車の高速道路での速さ
・ハヤブサの飛ぶ速さ
・ダチョウの走る速さ
・昆虫の飛ぶ速さ
・魚の泳ぐ速さ
・犬や猫、チーターの走る速さ
・新幹線やリニアモーターカー、飛行機の速さ
・音の速さ(音速)
・地球が自転、公転する速さ

これらのピックアップができたら、図鑑やインターネットを使って速度を調べ、再度ノートに書き出していきます。陸上競技や交通機関などは、昔と今とで速度が違うかもしれません。同じ乗り物でも種類によって速度が異なったり、同じ生き物でも移動する速さが違っていたりすることもあります。

速さを競ってみてもよいですし、逆に遅さを競ってみてもよいかもしれません。どうして速度が違うのかを調べてみることでも、奥の深い自由研究になるでしょう。また、調べてみて面白かった点、気になった点などをまとめておくと、さらによい自由研究になります。

光速をきっかけに、身近なものの速度についてもイメージしてみましょう

今回の記事を通して、光にも速度があり、とてつもない速さで空間の中を移動していることがわかったのではないでしょうか。また、自由研究にもチャレンジしてみることで、速さの目安を自分なりにイメージできるようにもなります。

例えば、自分が歩く速さはこのくらいで、車の走る速さはこのくらい、電車はこのくらい、飛行機はこのくらいとだいたいの速さを知っておくと、速さの問題文を理解しやすくなったり、身近なところで距離感をつかめるようになったりもするでしょう。光の速さをきっかけに、ぜひ身近なものの速さについても学びを深めてみてください。

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