謎がいっぱいミステリーサークル!どうやって作られているの?

公開日: 2023/03/30

ミステリーサークルとは、田んぼや麦畑で発見される大きな模様のことです。多くの場合、円や直線を組み合わせた複雑で巨大な模様が一夜にして出現するので、未知の超常現象やUFOの着陸地点ではないかと考えている人もいます。この記事ではミステリーサークルの謎や、ミステリーサークルの作り方について解説します。単なるいたずらではない、自然が作り出した不思議な模様についても紹介しています。

目次
ミステリーサークルってなに?
ミステリーサークルのたくさんの謎
日本でも見ることができる!自然のミステリーサークル
人工と自然現象が入り混じるミステリーサークル

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ミステリーサークルってなに?

ミステリーサークルは農場などに植えられた小麦などの穀物が倒されて作られた模様のことで、英語では「Crop Circle」 (穀物の円)と呼ばれます。ミステリーサークルが広く知られるようになったのは1980年代にニュースで取り上げられるようになってからですが、実は、17世紀ごろにはすでにミステリーサークルのような存在が知られていたようです。

ミステリーサークルは円や直線を組み合わせた幾何学的な形が一般的で、大きなものでは長さ数百メートルにもなることもあります。ミステリーサークルと同じような地面に描かれた大きな絵としては「ナスカの地上絵」もよく知られています。ナスカの地上絵は数千年前に石や岩を取り除いて描いたもので、ミステリーサークルとは違います。

ミステリーサークルのたくさんの謎

ミステリーサークルに関する多くの謎は、昔から多くの人を惹きつけてきました。ミステリーサークルの目的や作り方について、さまざまな説か提案されています。

・宇宙との交流のため?!突然現れるミステリーサークル

ミステリーサークルの一般的な特徴に、ミステリーサークルができる瞬間を誰も見ていないことがあります。普通の畑だった場所に一晩でミステリーサークルができるので、未知の超常現象によって作られるとする説もあります。例えば、宇宙人が乗ったUFOが着陸してできた跡ではないか、ミステリーサークルを使って宇宙にメッセージを送っているのではないか、などの説が提案されています。

・風などの自然現象によってできる説

ミステリーサークルの科学的な研究の歴史は古く、1880年には世界的に有名な科学誌に「竜巻のような風によって畑に円形の斑点ができる」という説が掲載されています。他には、上空から下向きに突風が吹き下ろす「ダウンバースト」と呼ばれる現象による可能性や、「プラズマ」と呼ばれる空気中に発生した電気の影響による説が提案されてきました。

・人為的に作ったいたずら説

科学者達による真面目な研究が行われている中、1991年にダグラス・バウワーとデイヴィッド・チョーリーの2人のイギリス人芸術家がミステリーサークルを作ったのは自分達だと名乗り出ました。2人は自分達がミステリーサークルを作ったことを示すために、科学者が主張する自然現象説では説明できない模様を取り入れた新しいミステリーサークルを作成してみせました。2人の説明によると、円や直線を組み合わせたミステリーサークルを作るには、木の板やロープを使った簡単な道具があれば十分です。例えば、細長い木の板を使って麦を踏み倒すと、足跡が目立たない平らな面ができあがります。この木の板と円の中心に立てた杭をロープで結び、ロープをピンと張った状態にすると、コンパスのようにきれいな円を描くこともできます。

ミステリーサークルは2人が住むイギリス以外でもたくさん発見されています。全てのミステリーサークルが2人によって作られたわけではありませんが、2人と同じように、夜誰にも見られないように作ることが伝統的なポイントになっているようです。

・知的なアーティスト活動?迷惑行為?

世界中でたくさんのミステリーサークルが作られてきた結果、そのデザインや作成方法はレベルアップを続けてきました。特にコンピューターの進歩の影響は大きく、現在では高度な数学的知識を取り入れた複雑な図形も正確にデザインできるようになっています。検索サイトで「Crop circle」を調べると、世界中で「発見」されたミステリーサークルの画像を見ることができます。

畑の持ち主が望んでミステリーサークルを作っている場合は問題ありませんが、そうでなければ、犯罪になる可能性もある迷惑行為です。実際、ミステリーサークルの本場イギリスにあるウィルトシャーという地域では地元の警察がミステリーサークルに注意を向けています。ミステリーサークルは麦などの茎を折り曲げて模様を作るので、その後、作物の収穫が難しくなってしまいます。

日本でも見ることができる!自然のミステリーサークル

ダグラスとデイヴィッドが作成したようなミステリーサークルとは違って、自然のはたらきによって不思議な模様ができあがることもあります。実は、そのような自然のミステリーサークルは日本でも見ることができます。

・宮崎県日南市の飫肥(おび)杉ミステリーサークル

宮崎県日南市にある森林の中に、2つの円形の模様を見つけることができます。この場所は「林分密度試験林」と呼ばれていて、「スギの木を植える密度によって、木の成長にどのような違いがあるか」を調べる実験が行われています。2つの円の中心では密度が高く、外側に行くほど密度が低くなるように人為的に木が植えられています。この実験は50年ほど前に始まったもので、当時の理論では、木を植える密度は木の高さにほとんど影響しないと考えられていました。実際には理論通りにならず、密度が低い外側の木ほど木の高さが高くなっていて、航空写真を見るとお椀のような形のグラデーション(徐々に変わっていく様子)が確認できます。 

・奄美大島の海底に現れるミステリーサークル

もうひとつの例は、奄美大島の海底で発見された直径2メートルほどの円形のミステリーサークルです。海底の砂地に描かれたこのミステリーサークルが、誰(何)によって、何のために作られているのかは長い間謎となっていましたが、2011年に全長12センチメートルぐらいの小さなフグによって作られた、産卵場所であることが判明しました。しかも、このフグは今まで見つかっていなかった新種で、後に「アマミホシゾラフグ」と名付けられました。

このミステリーサークルに関する科学的研究も進められています。このミステリーサークルには、フグの卵が置かれたサークル中心部に新鮮な海水を流し込む働きがあることが報告されています。さらに、この円形の模様を作るフグの行動はシンプルなルール(数式)で表現できることも分かっています。自然界にある複雑で美しい幾何学模様が、実はシンプルな数式で表現できる例はほかにもたくさん見つかっています。もしかしたら、自然や生き物の働きが作り出すミステリーサークルがまだまだ発見されるかもしれません。

人工と自然現象が入り混じるミステリーサークル

謎に満ちたミステリーサークルは、昔から多くの人の知的好奇心を刺激してきました。科学者を含む多くの人が検証を続けた結果、現在ではほとんどのミステリーサークルは人間が作ったものだと考えられています。

人工的に作られたミステリーサークル以外にも、自然現象や動植物の習性によってできあがった模様が発見され続けています。自然の中に現れる美しい幾何学的パターンの背景には、人類がまだ気が付いていない不思議な仕組みが隠されているのかもしれません。

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