百人一首とはどのようなもの?歴史や遊び方の種類について
公開日: 2024/03/28
百人一首は、昔の言葉で詠まれていて難しい和歌を想像するかもしれません。かるたのように遊ぶときも、絵札ではなく文字だけが書かれたものが取り札になるので、一般的なかるたとの違いに驚く人も多いようです。しかし、百人一首はさまざまな遊び方ができ、幼児でもできるわかりやすいものもあります。そこで、百人一首について歴史や遊び方の種類を解説します。
百人一首とは?
百人一首には平安貴族のような出で立ちの人物が描かれた絵札とひらがなが書かれた札の2種類があり、なんとなく難しいイメージを持っている人も多いでしょう。百人一首とは何なのかを解説します。
百人一首とは和歌を厳選した歌集
百人一首とは、飛鳥時代から鎌倉時代にかけての有名な歌人による和歌を集めた歌集です。名前の通り、百人一首では100人の歌人の和歌が100首厳選されています。百人一首には読み札と取り札があります。読み札は歌人の絵が描かれているもので、取り札がひらがなで和歌の下の句だけが書かれているものです。それぞれ100枚ずつあり、遊び方によって使う枚数が異なります。
百人一首の歴史
百人一首におさめられている和歌は、奈良時代に誕生したとされています。当時は「五・七・五・七・七」というリズムの短歌以外にも、長歌や旋頭歌(せどうか)といったさまざまな歌を総称して和歌と呼んでいました。
しかし、平安時代になると短歌のリズムで読む歌のみが残り、他の形式は衰退していきます。このため、和歌といえば短歌を指すようになったのです。平安時代にはさまざまな技巧を使いながら、和歌に美しい景色や恋心を込めて詠むようになります。このため、平安時代の貴族は和歌を上手に詠むことで、自分の賢さやセンスの良さを示すようになりました。
百人一首とかるたに違いはある?
百人一首は、かるた取りをイメージする人も多いでしょう。百人一首でもかるた遊びをすることはありますが、一般的なかるたとは内容が異なります。
「百人一首かるた」と「いろはかるた」に分けられる
ひとくちにかるたといっても、百人一首かるたといろはかるたは異なるものです。百人一首かるたは100人の歌人による100首の和歌によって構成されています。百人一首で競技かるたをするときは、100枚の札のうち50枚を使います。競技かるたというだけあり、スポーツ競技のように厳格なルールがあるのが特徴です。
一方、いろはかるたは、「いろはにほへとちりぬるを……」で始まることわざ47種類でできています。採用されていることわざは地方によって異なります。基本的なルールは、読み手が読み札の文章を読んで、それに合う絵柄の描かれた札を取るものです。小さな子どもでも取り組みやすく、人数が多くても遊べます。
百人一首は小倉百人一首を使ったもの
百人一首にはいくつかの種類がありますが、特に有名なのは「小倉百人一首」です。小倉百人一首は鎌倉時代の歌人・藤原定家が選んだ百人一首を指します。競技かるたで使われるのも小倉百人一首と決められています。
百人一首の種類と遊び方
百人一首にはさまざまな遊び方があり、その種類によって難易度は異なります。そこで、代表的な遊び方を4つご紹介します。
散らし取り
散らし取りとは100枚すべての札を使って遊ぶ方法です。遊ぶ人数も特に制限がありません。
【遊ぶ前の準備】
・読み手:1名
・使用する札:読み札100枚、取り札100枚
【遊び方】
1.札を取る人たちの前に、100枚の取り札をバラバラに置く
2.読み手が1枚ずつ読み札を読む(上の句から下の句まで全部読み、下の句を繰り返して読む)
3.読み手の声を聞いて札を取る
4.読まれた札を取るのを最後の1枚まで繰り返して、多くの枚数を取った人が勝ち
源平合戦
源平合戦は2つのチームに分かれて戦う団体戦です。各チームが同じ人数だと公平なので、取る人は4名・6名・8名などと偶数になるようにしましょう。
【遊ぶ前の準備】
・読み手:1名
・取り手:源氏と平家の2チームに分かれる
・使用する札:読み札100枚、取り札100枚
【遊び方】
1.読み手は取り札100枚をよく混ぜて、各チームに裏向きにした取り札を50枚ずつ配る
2.源氏チームと平家チームは向かい合って座り、読み手から受け取った取り札を表向きにして、自分たちの前に3段に分けて並べる
3.読み手が札を読み、取り手は取り札を取る
4.自分の陣地と相手の陣地どちらの札も取れるが、相手の札を取った場合は自分の陣地の札を相手に送る
5.お手つきしたら、相手から1枚札をもらう
6.自分のチームの札がなくなったチームの勝ち
坊主めくり
坊主めくりは、百人一首の和歌を覚えていなくてもできる遊びです。簡単なルールなので、小さな子でも遊べるでしょう。
【遊ぶ前の準備】
・読み手:必要なし
・取り手:人数制限なし
・使用する札:読み札100枚
【遊び方】
1.遊ぶ人みんなで円になって座り、取り札をよく切って裏返した状態で重ねて中央に置く
2.じゃんけんで最初に取る人を決め、時計回りで1枚ずつめくっていく
3.めくった札に描かれている歌人の種類によって取り札を返したり取ったりできる
4.順番に札をめくって、最後に多くの持ち札を持っている人が勝ち
【札の意味】
・坊主:集めた札をすべて返す
・男性:持ち札にできる
・女性:前に坊主を出した人が返した札をすべてもらえる
・天皇:参加者全員の持ち札と坊主がでて返された札のすべてをもらえる
競技かるた
競技かるたは、全日本かるた協会によってルールが厳格に定められています。和歌をすべて覚えていなければならないため少々難しい遊び方ですが、本格的に取り組むと百人一首の奥深さを理解できるはずです。
【遊ぶ前の準備】
・読み手:1名
・取り手:2名
・使用する札:読み札100枚、取り札50枚
【遊び方】
1.取り札100枚を裏向きにしてよく混ぜ、取り手が25枚ずつ取る
2.持ち札を並べる(横87センチメートル・1段ごとの間隔1センチメートル・敵陣との間隔3センチメートルとして、25枚を3段に分けて好きなように並べて良い)
3.15分間取り札の場所を暗記する
4.読み手が読んだ札を取る
5.敵陣の札を取ったり相手がお手つきしたりすると、自分の札を相手に送れる
6.場にない「空札」が読まれることもあるのでお手つきに注意が必要
7.先に持ち札がなくなったほうが勝ち
百人一首はいろいろな遊び方ができる!和歌の意味も考えながら遊んでみよう!
百人一首は藤原定家という歌人が厳選した歌集です。優れた和歌が100首も揃っているので、遊びながら古典の勉強にもなるでしょう。また、一般的なかるたのように札を取ったり坊主めくりのように絵札だけで遊んだりと、さまざまな遊び方があるのも特徴です。
昔の人の和歌なので、難しいイメージを持つかもしれませんが、現代を生きる私たちも共感できることも多くあります。ぜひ一度和歌の意味を考えながら遊んでみることをおすすめします。
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