空はどうして青い?太陽の光の性質と空の色が変わる理由

公開日: 2023/01/30

昼空はさまざまな色に変化して見えます。昼間の空は青く、朝や夕方の空は、まるで空が燃えているように赤やオレンジ色に染まります。では、空の色はどうして変わるのでしょう。その理由は、私たち人間の目の仕組みと、太陽の光の性質に関係があります。今回は、空の色が変わって見える理由を、太陽の光の性質と合わせて解説します。

目次
太陽の光の色と光の性質
空が青い理由
夕焼けが赤い理由
空が白くなる理由
空が青い理由と海が青い理由は違う?
光の散乱が空の色を変えている

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太陽の光の色と光の性質

まずは、太陽の光の性質について学んでいきましょう。

・太陽の光の色は何色?

絵に描くときは赤や黄色で塗ることの多い太陽ですが、実際の光はまぶしく白っぽく感じるだけで赤色にも黄色にも見えません。実際の太陽の色は何色なのでしょう。実は、太陽の光には、いろいろな色が混ざり合っています。ただし、人間の目で区別できる光の色には限りがあって見分けることができる光の色は、虹の色と同じ7色になります。人間の目の中には光から色を感じ取る細胞があって、何かを見るときに目の中で強く感じた光の色を、自分が見たものの色として認識しています。赤い光を強く感じれば「赤」だと思い、青い光を強く感じれば「青」だと思うのです。つまり色を見分けるためには、光(特に太陽光)が必要なので、太陽が沈んで薄暗くなると色がわかりづらくなってしまったり、電気が消えた夜の暗闇の中では何も見えなくなってしまったりするのは、この目の仕組みのためです。

・波長の長さによって感じる色が変わる

太陽の光には、他にも特徴的な性質があります。空の色が変わる理由と密接に関わっている性質を紹介しましょう。太陽の光は真っすぐ進みますが、一直線の動きではなく、波のように細かく上下に振動しています。1回上下に振動する間に進む距離を「波長」と呼びます。波長は常に一定ではなく幅があって、波長の長さが特定の範囲にあるときにだけ、人間は光を色として感じることができます。この人間が色を感じられる範囲を「可視域(かしいき)」、可視域にある光を「可視光線(かしこうせん)」といいます。可視光線は、波長の長さによって、虹と同じ7色(赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)に分かれます。虹の色は、波長の長さ順に並んでいるのです。最も波長が長いのは赤い光で、最も波長が短いのが紫の光です。赤より波長の長い光(赤外線)や、紫より波長の短い光(紫外線)は可視域を外れてしまうので、目には見えません。

・光は何かにぶつかると折れ曲がる

光は、何かにぶつかると進む方向の角度を変える性質があります。光は、ガラスや水のような透明な物質を通り抜けて進むことができますが、ぶつかるときに進行方向が少し変化します。ぶつかった光が折れ曲がるように見えるため、この性質を「屈折(くっせつ)」といいます。水の入った透明なコップの中にストローを入れると、途中で折れたようにゆがんで見えるのは、光が屈折するためです。通り抜けられないものにぶつかった光は、はね返ります。この性質を「光の反射」といいます。反射する角度は、光がぶつかった角度に応じて決まります。こうした屈折や反射などの性質を持つ太陽の光が大気の中を通り抜けるとき、不思議な現象が起こります。

空が青い理由

地球の周りを取り囲んでいる大気はいろいろな成分でできていて、その中には目で見ることはできないほどの小さな粒(微粒子・びりゅうし)がたくさん浮かんで漂っています。太陽の光が大気中の微粒子にぶつかると、光の振動が伝わって一緒に振動し、ぶつかった光と同じ光を四方八方に放出します。この現象を「光の散乱」といいます。光の散乱にはいくつもの種類があります。特徴的なのは、微粒子の中でもはるかに小さな空気の分子に光がぶつかったときは、青や紫などの波長が短い光ほど強い散乱を起こします。散乱で飛び散った光は、さらに他の微粒子にぶつかって連鎖的に散乱を繰り返すので、それだけ強調されます。一方、波長が長い光は小さな空気の分子にぶつかりにくいのであまり散乱しません。この現象は、原理を解明したイギリスの物理学者であるジョン・ウィリアム・ストラット氏(第3代レイリー男爵)の名前にちなんで、レイリー散乱とよばれています。最も多く散乱するのは紫の光ですが、散乱の頻度が激しすぎるため、地上に届くまでにエネルギーが弱まってしまいます。その結果、散乱で強調された青い光が最も多く目の中に入りやすくなり、空の色は青く見えるのです。

夕焼けが赤い理由

それでは、朝や夕方の空が赤く見えるのはなぜなのでしょう。それは、太陽が地球を照らす角度が変わるからです。太陽が傾く朝や夕方は、太陽が真上にある昼間と比べると、光が大気の中を通る距離が長くなります。昼間よりも散乱する回数が増えることから、青い光も私たちの目に届く前に消えてしまいます。その結果、散乱しにくい赤や橙の光だけが残って強調されるので、空の色は赤くなるのです。

空が白くなる理由

では、雲が白く見える理由はなぜなのでしょう。季節によっては、晴れた日の空も、青ではなく白っぽく見えるときもあります。この現象も、光の散乱が関係しています。ただし、空を青く見せるレイリー散乱とは別の種類の散乱です。レイリー散乱では、波長よりもはるかに小さな空気の分子にぶつかったときに特定の光が強く散乱するのですが、もっと粒の大きな微粒子にぶつかったときには、色に関係なく光全体が散乱します。この現象を「ミー散乱」といいます。雲は、大気中の水蒸気が冷えてできた水滴や氷の粒がたくさん集まってできています。雲の中を通り抜けようとする光は、水滴や氷の粒にぶつかってミー散乱を起こしやすくなります。いろいろな色が混じっている光は、重なって一点に集中すると白く見えるようになります。そのため、雲や雪の色は白なのです。雨や曇りの日に、厚い雲に覆われた空が灰色っぽく見えるのは、大きな雲の中でミー散乱をした光のエネルギーが弱まって、地上まで届きづらくなっているからです。光が当たらない側は影になるので、雨雲は灰色に見えます。

空が青い理由と海が青い理由は違う?

海水は透明なのに青く見えるのも、太陽の光が影響しています。ただし、空のような光の散乱ではなく、理由は少し違います。実は、水の成分は太陽の光を少しずつ吸収するのです。このとき、波長の長い赤い光ほど、より多く吸収されます。海底までの距離が深い場所ほど、赤い光が少なくなり、青い色が濃くなります。海底で反射した光が私たちの目に届くときまでに赤い光はほぼ吸収されつくしてしまうので、残った濃い青の光だけが残ります。そのため、私たちは海の色は青に見えるのです。

光の散乱が空の色を変えている

空の色が変わるのは、大気中を通るときに太陽の光が散乱するからだということが分かりました。どのような散乱をするのか、何色に変わるのかは、大気の状態と太陽の位置によって変わるので、空の色は見上げるたびに少しずつ違うのです。空を見上げたときに、今の空はどうしてこの色なのだろうと意識しながら見てみると、光の不思議な性質を面白く感じるかもしれませんよ。

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