牛乳パックを使ったピンホールカメラの作り方│光の反射を学ぼう

公開日: 2022/05/31

最近は、スマホでカメラを使いこなす子どもも多いのではないでしょうか。カメラといえばレンズがつきもののイメージがあると思いますが、レンズのないカメラもあるのを知っていますか?

レンズを使用しないカメラをピンホールカメラといいます。ピンホールは、針穴(はりあな)と呼ばれ、針で開けたような小さな穴のことです。ピンホールカメラはレンズの代わりにピンホールを通った光で像を写します。

今回は、光の反射と、カメラやレンズの仕組みを説明し、牛乳パックを用いたピンホールカメラの作成方法を紹介します。理科の自由研究として、ピンホールカメラを作成し、カメラの仕組みと光の反射を学びましょう。

目次
ピンホールカメラのメカニズム
カメラのメカニズム
ピンホールカメラの材料
ピンホールカメラの作り方
ピンホールカメラを応用した楽しみ方
ピンホールカメラで光を映し出してみよう!

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ピンホールカメラのメカニズム

ピンホールカメラは、ピンホールを通った光が周囲のものを映し出します。ピンホールカメラのメカニズムはどうなっているのでしょうか。ピンホール現象と、像が写る理由を説明します。

●ピンホール現象とは?

ものに反射した光が小さな穴(ピンホール)を通って平面に当たると、ものの像が映る現象です。たとえば、樹木の間から木漏れ日が見えるとき、木漏れ日が丸い形をしているのは、木の葉と葉の間に太陽の光が差し込み、地面に太陽の丸い形が映るからです。木漏れ日は、木の葉と葉の間がピンホール(針穴)となり、地面に太陽の形が映し出されるのです。

●なぜ像が映るのか?

ピンホール現象によって、ピンホールを通った光がものの像を映し出すからです。私たちはものを見るとき、ものを直接見ているのではなく、ものが発する光や、ものに反射した光を見ています。ものは光をさまざまな方向に反射しますが、小さな針穴のある箱を置くと、箱の内側の平面には針穴を通った光のみが届き、像が映し出されます。

針穴を通る光はどんな光でしょうか。光は直進しかしないため、ものの上端から反射した光は針穴を通して平面の下方向に届き、ものの下端から反射した光は針穴を通して平面の上方向に届きます。よって、ピンホールを通って映し出される像は上下が逆になるのです。

カメラのメカニズム

ピンホールカメラは、像が映し出される平面にコピーアートペーパー、または印画紙を使用すると写真撮影ができます。カメラとレンズの仕組みをご説明しましょう。

●カメラの仕組み

カメラには、三つの部品が備わっています。

・レンズ(光を集めて像を作る)
・フィルムなどの感光材料(光を感じ取って像を記録する)
・シャッター(感光材料に光を当てて像を記録するときに開く)

一眼レフなどのカメラは、レンズとフィルムの間に鏡があり、鏡の反射光を通して覗き窓から像が見える仕組みになっています。ピントを合わせてシャッターを切ると、鏡が上がって光が直接フィルムに届き、像が記録される仕組みです。フィルムを現像すると写真が出来上がります。

なお、今回ご紹介するピンホールカメラではレンズが使われていませんが、ピンホールがレンズの代わりをしています。

●レンズの仕組み

レンズは、メガネや双眼鏡などにも使われているガラスやプラスチックで、ものの像を拡大したり縮小したりできます。光はレンズを通ると屈折する(折れ曲がる)ため、レンズは光を集めたり散らしたりする役割があります。

レンズには、凸(とつ)レンズと凹(おう)レンズの2種類があります。凸レンズは、レンズの中央に膨らみがあり周囲が薄いレンズで、凹レンズはレンズの中心部が薄く周囲が厚いレンズです。凸レンズは光を一点に集め、凹レンズは光線を散らします。

レンズに入射した光が屈折して1か所に集まる点を「焦点」といい、レンズから焦点までの距離を「焦点距離」といいます。ピンホールには焦点はありませんが、レンズにはあります。ピンホールカメラのピンホール部分にレンズを取りつけ、見え方を確認したり焦点距離を測ってみたりするとよいでしょう。

ピンホールカメラの材料

ピンホールカメラは紙コップやトイレットペーパーの芯など、身近なもので作成できます。今回は、牛乳パックを使用して工作をしましょう。

●用意するもの

・牛乳パック
・黒い画用紙または黒い厚紙
・アルミホイルまたは黒い厚紙
・トレーシングペーパー
・はさみ
・カッター
・画びょう
・両面テープ
・セロハンテープ
・黒の油性マーカーペン

●撮影する場合に必要なもの

・コピーアートペーパー
・アイロン

ピンホールカメラの作り方

実際にピンホールカメラを作成しましょう。

●レンズ側の箱を作る

1.牛乳パックの端の、尖っている部分と、底の部分を切り落とします。


2.黒い画用紙または黒い厚紙を牛乳パックに巻きつけ、牛乳パックより少し大きな筒を作ります。


3.黒い筒が出来上がったら、黒い画用紙で筒にフタをするための四角い面を作ります。

4.四角い面の真ん中に1センチ×1センチ程度の四角い穴を開けます。


5.アルミホイル(または黒い厚紙)を2センチ×2センチ程度の四角形に切り取ります。アルミホイルの場合は片面を黒い油性マーカーで塗りつぶしておきます。

6.四角形のアルミホイルに、画びょうで穴(ピンホール)を開けます。


7.四角いフタの穴の部分に作成したアルミホイルを、黒い面を下にしてセロハンテープで貼りつけます。


8.外側の黒い筒の端に作成したフタを取りつけて、外側の箱が完成します。



カメラ内部に余計な光が入ると映し出されないため、光が入り込む隙間ができないよう注意して作成しましょう。

●スクリーン側の内箱を作る

1.牛乳パックの内側に、両面テープで黒い画用紙または黒い厚紙を貼りつけます。

2.牛乳パックの底に、四角く切ったトレーシングペーパーを貼りつけます(スクリーン)。

●レンズ側の箱と、スクリーン側の内箱を組み合わせる

レンズ側の箱に、スクリーン側の箱をトレーシングペーパーが貼ってあるほうから入れて完成です。

ピンホールカメラを応用した楽しみ方

ピンホールカメラを作成したら、見え方を確認したり装飾したり、色々と試してみましょう。ピンホールカメラを応用した楽しみ方を紹介します。

●実験してみよう!

ピンホール部分を、キリや針などを用いて穴の大きさを変えてみて、見え方を確認してみましょう。

また、ピンホール部分に、ピンホールの代わりに100円均一ショップなどで購入できる双眼鏡のレンズをはめ込み、ピントを合わせて写り方を確認してみましょう。スクリーンの内箱をスライドさせると像の大きさや明るさを変えられます。

●撮影してみよう!

作成したピンホールカメラで撮影する場合は、ピンホール部分にレンズをはめ込むのがおすすめです。ピンホールは、ものが反射する一部の光しか通さないため、像が暗くなりぼやけてしまうためです。

撮影手順

1.ピンホールカメラを固定します。
2.ピントを合わせ、ピントが合った位置で内箱に印をつけます。
3.内箱を取り出し、トレーシングペーパーの外側にコピーアート紙を貼りつけます。
4.内側の箱を外側の箱に入れ、印をつけた部分まで戻します。
5.15分ほど放置し、コピーアート紙を取り出します。
6.コピーアート紙に低温でアイロンをかけ、熱を加えます。

●工夫してみよう!

外側の牛乳パックを自由に装飾しておしゃれにしたり、かっこよくしたりすることでまた違った楽しみを発見できます。

また、お菓子の箱と印画紙を使うなどひと工夫して、ピンホールカメラを作成してみるのも面白いですよ。

ピンホールカメラで光を映し出してみよう!

ものに反射した光がピンホールを通ると、対面するスクリーンに像が映し出されるピンホールカメラ。光は直進しかしないため、ピンホールを通った直進している光のみがスクリーンに映ります。

上下が反転している像が確認できましたね。カメラの仕組みは、ピンホールカメラも一眼レフカメラデジタルカメラも同じです。ピンホール部分にレンズを入れ、印画紙を使うと、本格的なカメラも作成できます。ピンホールカメラの作成を通して光の特性を理解しましょう。

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