糸電話を作って親子で実験!音が伝わる仕組みを学ぼう
公開日: 2019/08/09
子供のとき、糸電話を作ってもらって遊んだという記憶のある人は多いのではないでしょうか?紙コップと糸だけで簡単に作ることができて楽しく遊べる糸電話ですが、立派な理科の自由研究にもなります。今回は、糸電話の作り方や実験のやり方をご紹介します。どうして音が糸を伝わるのか、メカニズムを楽しく学んでいきましょう。
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糸電話のメカニズム
糸電話とは
音や声を、糸の振動に変えて伝達し、受け取った側で再び音声に変えることで、離れている場所にいる人同士が会話をすることができる仕組みのことです。子供向けのおもちゃとして作られることが多く、紙コップや糸を使って作るものがよく見られます。
糸電話で音が伝わる仕組み
なぜ音がするの?
そもそも「音」はどのようにして発生するのでしょうか?太鼓をたたいたとき、太鼓の革を触ってみると細かく震えていることが分かります。つまり、音は物が震えることによって発生するのです。そして、革を手のひらで押さえると、音がしなくなります。革の震えが止まってしまうためです。トライアングルも、金属の部分を指で触ることによって音を止めますが、太鼓と同じように震えを止めることによって音がしなくなるのです。
音の伝わり方
音がした場所から離れていても音が聞こえるのは、音を発生させている物の震えが空気を震わせ、耳まで届くためです。
例えば、ある物体が震えて音を発生させたとします。物体は震えているので左右にゆらゆらしていると考えてみましょう。右にゆれて空気を押したとき、物体の右側の空気は圧力を受けて密度の高い状態になります。すると、空気の分子はきゅうくつなため広いところへ逃げようとして密度の低い方へ移動していきます。次に、物体が左にゆれると右側の空気はひっぱられて密度の低い状態になります。
こうして物体の周りの空気は密度の濃い部分(密)と薄い部分(疎)になり、音の震えが繰り返されることによって、連続して伝わっていくのです。この様な空気の波を「疎密波」と言います。
また、空気の疎密波によって音がするということは、空気が無ければ音の震えを伝えるものが無くなります。つまり、真空状態のときは、音は伝わらず何も聞こえない状態電話になるのです。
音の伝わる速さの違い
音の震えを伝える物質は空気だけではありません。固体や液体も音を伝えることができます。プールの中でも外の音がきちんと聞こえますし、水中で声を出しても聞こえます。また、駅のホームなどで線路がカタカタと音を出しているのに気が付くこともあります。この様に、音は気体だけではなく、液体や固体でも伝わるのです。
では、音の伝わりやすさには違いはあるのでしょうか?音は振動によって伝わることはすでに説明しました。振動は、音を伝える媒質となる物質の分子の密度が高いほど伝わりやすくなります。そのため、固体→液体→気体の順に音が速く伝わるのです。
糸電話作りに必要なもの
(基本の材料)
・紙コップ
・糸
・きり
・はさみ
・クリップ
・セロハンテープ
(実験の種類によってあるとよいもの)
・騒音計(デシベル計)
・さまざまな種類の糸(毛糸、絹糸、釣り糸、水糸、ビニールテープ、細い針金など)
糸電話の作り方と実験方法
作り方
1.コップの底にきりで穴を開ける
2.用意した糸を好きな長さで切る
3.(1)で開けた穴に、コップの底から糸を通す
4.通した糸の先をクリップにしっかりと結び付ける
5.クリップが抜けないようにセロハンテープでコップの底にしっかりと止める
実験方法
(実験1)紙コップから声が聞こえてくるか試してみよう
紙コップを口に当てて声を出し、もう片方の紙コップを別の人が耳に当てて相手の声が聞こえるか試してみましょう。ポイントは、糸をピンと張った状態にして実験をすることです。すると、離れた場所にいてもきちんと声が聞こえることが分かります。試しに、糸をたるませてみましょう。声は聞こえなくなってしまいますね。これは、糸がたるんでしまったために音の振動が伝わらなくなってしまったからなのです。
(実験2)糸の途中や紙コップの底を指で押さえたら音が聞こえるかな?
糸電話の糸の途中を指で触りながら話してみましょう。声は聞こえなくなることが分かります。これは、糸の振動を指で押さえてしまったため、音が伝わらなくなったためです。
紙コップの底を押さえても同じ結果になります。
糸電話は、口→コップの中の空気→コップ→糸→コップ→コップの中の空気→耳という順番で振動を伝えています。そのため、コップの震えを指で押さえてしまうと、音が伝わらなくなるのです。
糸電話で話をするときは、コップ以外の場所に触らないように気を付けるようにしましょう。
(実験3)3人で話ができるか試してみよう
糸電話の糸の途中に、他の糸を結ぶようにして、糸電話を増やして3人で話をしてみましょう。きちんと話ができましたよね。この様に、糸電話の数を増やしていけば、たくさんの人と話をすることができます。何人まで話ができるか、試してみてもよいでしょう。
(実験4)糸電話の糸を変えたら聞こえ方は変わるか実験してみよう
糸の種類によって、糸電話の音の伝わり方に違いがでるのでしょうか?騒音計を使って、糸電話から聞こえてくる音の大きさを測定し、比べてみましょう。糸の材質や太さ、固さの違いによって、伝わる音の大きさが変わることが分かります。
(実験5)糸電話は遠く離れていても聞こえるのか実験してみよう
糸電話の糸を長くしていき、どこまで声が聞こえるのか実験してみましょう。もしかしたら、可能な限り糸を長くしたのに、ずっと声が聞こえたかもしれませんね。音は遠くに離れれば離れるほど、小さくなってやがて聞こえなくなってしまうはずなのに、なぜでしょうか?
音が発生する場所を点と考えた場合、音は点を中心として空気中を球状になって伝わっていきます。すると、中心から離れて球が大きくなるほど、風船のゴムが薄く伸びるように音が伝わる疎密波の面がどんどん広がっていき、振動する空気分子の密度は低くなっていきます。すると、振動は伝わりにくくなりやがて聞こえなくなります。
糸電話の場合には、音を伝える媒質は糸なので線状になっています。そのため、音の広がりが少なく、音源から距離が離れたとしても、音の減衰が少ないという訳なのです。
【応用編】糸の代わりに風船で電話を作ってみよう
風船電話は、口→紙コップ→風船の中の空気→紙コップ→耳という順番で音が伝わります。糸電話の場合には、糸の振動で音を伝えているため、糸がたるんでいたり、糸を押さえてしまうと音が聞こえませんでした。風船電話は、風船の中の空気が振動して音を伝えるので、もしも風船を触っていたとしても声は伝わります。また、自分の口と耳に紙コップを当てて自分の声を聞くことができるのも、空気の振動で音を伝えているためです。
では、風船電話を使って、たくさんの人と会話をするためにはどうしたらいいでしょうか?風船の空気の振動を他の風船にも伝えればいいので、風船同士が触るようにねじってつなげてみましょう。
糸電話の自由研究で音の秘密を科学してみよう!
簡単な工作をするだけで実験装置が作れる糸電話は、小学生から中学生のお子さんまで、幅広く自由研究のテーマとして取り組むことができます。小学生であれば、同じ材質でももっと音を伝えやすくするにはどうしたらいいのかを考え、糸を水で濡らす、塗料でコーティングしてみる、何本かの糸をより合わせてみる、糸をひっぱる力を変えてみるなどして結果をまとめてもよいでしょう。高学年から中学生のお子さんであれば、媒質の違いによる音速の違いを調べてまとめ、糸や空気以外の媒質で電話にするにはどうしたらいいのかを考えてみてもよいでしょう。
日常の経験でなんとなく分かっている「音」を科学的に理解できるきっかけになりますので、ぜひ夏休みの自由研究テーマとして検討してみてください。
参照:
大阪教育大学 『音の性質 ~音の仕組みと性質について~』
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~masako/exp/oto/index2/seisitu2.html
千葉市 教育委員会 事務局 学校教育部 教育指導課『音のけんきゅうⅡ ―音をよくつたえるもの―』
https://www.city.chiba.jp/kyoiku/gakkokyoiku/kyoikushido/documents/14oto.pdf
Panasonic 『パナソニックキッズスクール 音のふしぎ』
https://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/pks/library/015sound.html
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風船電話で通信しよう!
ワオ!チャンネル先生
公開日: 2015/06/19